現代フィリピンの地殻変動:新自由主義の深化・政治制度の近代化・親密性の歪み
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ISBN978-4-7634-2054-1
C3036
発行:2023年3月20日
A5判並製 288頁
●内容紹介●
かつての「つながりで貧困を生き抜く社会」は、いかに変容したのか──
グローバルなサービス産業への特化による著しい経済成長と社会福祉の充実。
急激な社会変化のなかで、ドゥテルテによる強権政治はなぜ熱狂的支持を得たのか?
新自由主義に呑み込まれる現代フィリピンを、緻密なフィールド調査から多面的に描き出す。
●目次●
〈問題の所在〉
序論 新時代のフィリピン人──なぜ「規律」を求めるのか
批判的序論 2010年代のフィリピン政治をどう理解するか──社会民主主義への転換
〈第1部 フォーマリティへの欲望〉
第1章 揺らぐ寡頭制──ディナガット州における革新政治の展開
第2章 包摂的成長と再定住の政治── 2010年代におけるマニラの空間再編
第3章 「レッドテープ」からの脱却──法制度と執行体制の整備による非属人的制度の模索
第4章 発展する胴元国家、生き残る違法賭博──ドゥテルテ時代の賭博政策をめぐる人々と政治
第5章 スペクタクル化する「マンゴーの島」──ギマラス島における産地再編の光と影
〈第2部 ままならないインティマシー〉
第6章 再編される親密性──生政治と死政治に引き裂かれる人々
第7章 「親しみやすさ」の複数性──コールセンターとKTV の労働世界
第8章 OFW の身体に対する「遅い暴力」──農村男性の出稼ぎ先における痛みをめぐって
第9章 他者への応答としての「リホック」 ──元OFW 女性の日常から見る現代フィリピンの共生と分断
第10 章 消費される未来、沈殿する過去──妊娠期における喪失経験と女性たちの応答
〈結論にかえて〉
現代フィリピンにおける時間/テンポの加速と揺らぎ──継ぎはぎされる変化への希求
●著者紹介●
原民樹(はら・たみき)
早稲田大学アジア太平洋研究センター助教。1985年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は政治学・フィリピン地域研究。論文に「アキノの改革政治と競争法──包括的競争法成立にみる『包摂的成長』のビジョン」(『アジア研究』第67巻2号、2021年)、“Defeating a Political Dynasty: Local Progressive Politics through People Power Volunteers for Reform and Bottom-up Budgeting Projects in Siquijor, Philippines,” Southeast Asian Studies, 8(3), 2019 年など。
西尾善太(にしお・ぜんた)
立命館大学大学院先端総合学術研究科特別研究員(PD)。1989年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。専門は都市人類学。著書に『ジープニーに描かれる生』(風響社、2022年)、『分断都市マニラにおける「公共性」の地層』(京都大学、博士論文、2021年)など。
白石奈津子(しらいし・なつこ)
大阪大学大学院人文学研究科講師。1988年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程単位取得退学。博士(地域研究)。専門は文化人類学・農村社会学。著書に『出稼ぎ国家フィリピンと残された家族──不在がもたらす民族の共在』(風響社、2018年)、“Reverse of Good Practice in Forest Preservation: Household Economy of Alangan-Mangyan and Community-Based Forest Management Program in the Philippines,” Geographical review of Japan series B, 2014年など。
日下渉(くさか・わたる)
東京外国語大学総合国際学研究院教授。1977年生まれ。九州大学大学院比較社会文化学府博士課程単位取得退学、京都大学人文科学研究所助教、名古屋大学大学院国際開発研究科准教授を経て現職。博士(比較社会文化)。専門はフィリピン地域研究。著書に『反市民の政治学──フィリピンの民主主義と道徳』(法政大学出版局、2013年)、編著に『東南アジアと「LGBT」の政治──性的少数者をめぐって何が争われているのか』(明石書店、2021年)など。
【著者】
飯田悠哉(いいだ・ゆうや)
愛媛大学農学部食料生産経営学コース研究員。1986年生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程指導認定退学。専門は農業・食料社会学。論文に「かれらの前に誰がいたのか──園芸産地の季節労働市場と国内労働者」(崔博憲・伊藤泰郎編『日本で働く──外国人労働者の視点から』松籟社、2021年)など。
久保裕子(くぼ・ゆうこ)
東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程在籍。専門は文化人類学、医療人類学。著書に『フィリピン女性たちの流産と中絶──貧困・贖罪・ポリティクス』(風響社、2021年)、論文に「医療人類学においてヘルスコミュニケーションをどう論じるか──フィリピン・メトロマニラの多言語状況における“Abortion”の「誤用」と齟齬の考察を手掛かりに」(『ことばと社会』第22巻、三元社、2020年)など。
田川夢乃(たがわ・ゆめの)
京都大学東南アジア地域研究研究所連携研究員。1991年生まれ。広島大学大学院国際協力研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は文化人類学、ジェンダー・セクシュアリティ研究。論文に「仕事・恋愛・暴力が交錯する場」(田中雅一・嶺崎寛子編『ジェンダー暴力の文化人類学』昭和堂、2021年)など。
中窪啓介(なかくぼ・けいすけ)
東京農業大学国際食料情報学部食料環境経済学科助教。1983年生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。博士(地理学)。専門は人文地理学・農業地理学。共著に『図説 京阪神の地理──地図から学ぶ』(ミネルヴァ書房、2019年)、論文に「フィリピン・パンガシナン州におけるマンゴーの請負生産にもとづく供給態勢」(『農村研究』第132 巻、2021年)など。
藤原尚樹(ふじわら・なおき)
神戸大学大学院国際協力研究科研究員。1988年生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は開発政治学、都市研究。論文に「グローバル・サウスにおける「スラム」の包摂的排除をめぐって」(『国際協力論集』第27巻第2号、2020年)、“Gentrification and Segregation in the Process of Neoliberal Urbanization of Metro Manila,” Kasarinlan: Philippine Journal of Third World Studies, 35, Forthcoming など。
宮川慎司(みやがわ・しんじ)
上智大学日本学術振興会特別研究員(PD)。1990年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は政治経済学、フィリピン地域研究。論文に「強まる反インフォーマリティの規範」(『アジア経済』第61巻3号、2020年)、「黙認されないインフォーマリティ」(『アジア研究』第68巻2号、2022年)など。
師田史子(もろた・ふみこ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教。1992年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。専門は文化人類学・フィリピン地域研究。論文に「偶然性に没頭し賭けることの有意味性──フィリピンにおける数字くじの事例から」(『文化人類学』第86巻3号、2021年)、「フィリピンにおける賭博の規制・管理の過去と現在─違法数字くじをめぐる政策の変遷─」(『アジア・アフリカ地域研究』第20巻1号、2020年)など。
吉澤あすな(よしざわ・あすな)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程。1987年生まれ。専門はフィリピン地域研究・文化人類学。著書に、『消えない差異と生きる──南部フィリピンのイスラームとキリスト教』(風響社、2017)、“Making the Island a“Fortress”: Government’s Measures and People’s Mentality against COVID-19 in Bohol,” Social Ethics Society Journal of Applied Philosophy, Special Issue, 2020年)など。
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